息継ぎ
行き詰まりの関係に息詰まった。
誰がどう見たってあなたと私はもうおわりだった。
なんとなく、小学校の時の水泳の授業の時に水中から見た、水面にうつるあのキラキラした太陽のことを思い出した。初めて25mを泳ぎ切った日のこととか、背泳ぎで頭をぶつけた日のこととか、水泳の時間の後のあのなんともいえない疲労感を背負ったまま受けた授業と、教室の窓から吹く風が気持ち良かったこととか。そんなことを思い出した。
息が詰まるような関係。行き詰まった関係。
身は詰まってなくて、身も蓋もない私たちの、緩やかな逃避行は、尽く失敗してしまったみたいだ。
息継ぎの仕方すら知らない私は、追い求めた理想の中で沈んでしまった。
嘘と本当の波をかき分けて現実の海を漂っている。あてもなく続く漂流。
今更になって私は溺れていることに気付いた。もうどうしようもないけれど。
だからせめて、この身を心を海が飲み込んでしまう前に、あなたに伝えたかった。
それももう今となっては叶わないけれど。
あてどなくさまよう海中で、私は空を見上げた。水面に反射する月がゆらゆらと揺れた。